國家と友情
田母神俊雄前航空幕僚長は腹の据わつた立派な人なのだらうと思ふ。戰後、長きにわたり左翼的な史觀の押しつけに辟易してゐた人々が快哉を叫ぶのも無理はない。とりわけ例へば渡部昇一氏の著作を愛讀するやうな人なら、「日本は矢張り惡くない」とて諸手を舉げて田母神氏に百パーセントの賛意を示した事だらう。
しかし私が田母神氏に聞いてみたいのは、次のやうな事である。あなたが國を裏切るか友を裏切るかと云ふ瀬戸際に立たされた時、どちらを選びますか。イギリスの作家、E.M.フォースターは「迷ふことなく國を裏切る」と云つたと云ふ。私もフォースターに百パーセント同意する。人間にとつて一番大切なのは、國家ではない。
おそらく私のやうな人間は、勲章を貰へるやうな兵士にもスパイにもなれないだらう。しかしそれでよいと思ふ。
田母神さん、そして自衞官の皆さん。國家と友情と、どちらを選びますか。この問ひを避けて通る保守系雜誌の論文や「軍事ブログ」「政治ブログ」なんぞ、讀む價値は無いと思ふ。
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