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2007年1月 5日 (金)

ダメな議論

 飯田泰之『ダメな議論』(ちくま新書)では、主張の妥當性をチェックする五つの方法を擧げてゐます(79~80頁)。對象は「社會・經濟問題の原因を分析するタイプの言説」としてゐますが、廣く議論文全般に通用するものです。


【チェックポイント①定義の誤解・失敗はないか】
【チェックポイント②無内容または反證不可能な言説】
【チェックポイント③難解な理論の不安定な結論】
【チェックポイント④單純なデータ観察で否定されないか】
【チェックポイント⑤比喩と例話に支へられた主張】

 私が批判した前田嘉則さんの「庶民」云々の主張は④の「單純なデータ観察で否定されないか」に引つ掛かります。「庶民」も松原氏の講演を樂しんでゐる事は事實から明らかだからです。留守晴夫氏についての主張も④に引つ掛かります。前田さんの「プロフィール」から主張の矛盾が浮び上がるからです。「悲劇『知的怠惰を論ふことの自己欺瞞』」と題する松原正氏批判の文章は⑤の「比喩と例話に支へられた主張」に引つ掛かります。「實證的な分析もなされないまま、比喩と例話で構成された主張は、基本的に信頼できない」(『ダメな議論』 70頁)からです。

 前田さんが連載を豫定されてゐる松原正論は、最低限上記のチェックポイントをクリアする文章であるやう望みます。

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