政治と文學の結託
松原正先生の十五日の東京講演會、無事に終つたやうですね。「夜の部」も盛り上がつたやうで何よりです。今囘、殘念ながら仕事の都合で參加出來ませんでしたが、次囘は是非。
昨日、圖書館で借りたヴィンセント・B・リーチ『アメリカ文學批評史』より。
アレン・テイトは、『詩と思想に關する反動的エッセイ』(一九三六)と臆することなく題した著作の中で、政治と詩の間のいかなる關係をも非難してゐる。《政治的詩と呼ばうとも、あるいは詩的政治と呼ばうとも、それは互ひを浸食しあふことによつて生きてゐる二者からなる社會なのである。最後には兩者をむさぼり食ふやうになる。それは精神的キャニバリズムなのである。》政治と詩の繋がりに對するこのやうな「宗教的」非難こそ、後にも先にも新批評を特徴附けるものであつた。(45頁、高橋勇夫譯)
アレン・テイトが上のやうに書いた時、具體的に念頭にあつたのは當時隆盛を誇つてゐたマルクス主義批評でしたが、マルクス主義批評に限らず、政治と文學の結託がおぞましい物であると云ふ指摘は誠に尤もであります。
ところでアレン・テイト氏、何となくどなたかに似てゐると思ひませんか、松原ファンの皆樣。
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