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2005年6月29日 (水)

美輪明宏氏の新刊

 岩波書店の「圖書」を眺めてゐたら、美輪明宏『戰爭と平和 愛のメッセージ』の廣告。

 「正義の戰爭なんて、ありやせんのですよ」 戰中・戰後を經驗し、時代の變化と不變の眞理を見据えてきた著者が、不穩な雰圍氣を増す現代日本社會に警鐘を鳴らす。人類が平和に、よりよく生きるために必要なのは、眞の教養、文化、そして愛――。心に染みる言葉の數々を、美しい裝ひの本でお屆けします。

 美輪氏はしばらく前、産經新聞の「心の肖像畫」で國語問題について全うな意見を述べてゐたが、この廣告文を讀んで忽ち幻滅。もしも美輪氏に自衞戰爭をも否定する論理的一貫性があるのなら別だが、十中八九さうではないだらう。確かに正義は相對的だが、人間誰しも正義が己に存すると信じずにはゐられない。美輪氏の「正義の戰爭なんて、ありやせん」と云ふ主張自體、一つの「正義」に基づいてゐるではないか。愚かなハリウッド俳優連の例を引くまでもなく、藝人は政治的發言をすべきでない。ファンを幻滅させたくなければ。

 輕薄化の進む岩波文庫の七月新刊に村井弦斎『食道樂(上)』(緑帶)と云ふのが入つてゐるが、どうせまたぞろ新字新假名なのだらう。美輪氏は知つてか知らずか。

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