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2005年1月 1日 (土)

またぞろ大東亞共榮圈

 元日付朝日新聞の社説は「アジアに夢を追ひ求め」。今年、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓三國がマレーシアで「東アジアサミット」を開く事に觸れつつ、「アジアの實情にあつた緩やかな共同體の實現に向けて、まづは夢を追ひ求めたい」とアジア共同體構想を後押しする内容である。またか。朝日は以前からアジアの「連帶」に熱心だが、その背後には反米主義が色濃く滲んでゐる。今囘の社説では「『反米』に走るのではない。日本がアジアにしつかりした基盤をつくることは、健全な日米關係にとつても決して惡いことではない」と書いてゐるが、わざわざ反米ではないと斷る事自體、常識的には反米とみなされても仕方の無い主張である事を自ら認めてゐるやうなものである。

 事實、舊臘十二月二十五日付の國民新聞によれば、東アジアサミット開催が決まつた翌日、アメリカ國務省のリース製作企劃局長は「新しい制度、協力のやり方が米國を排除しないか懸念してゐる」と不快感を示したと云ふ。一方、十二月六日付の日本共産黨機關紙「しんぶん赤旗」は「東アジア共同體現實化への一歩」の見出しで、アメリカ外しの潮流を歡迎する旨の論評を載せたと云ふ。アメリカを排除した東アジア共同體が出來れば、軍備力を急速に増強する中國がそれを事實上牛耳る事になる可能性が極めて高い。そんな「共同體」に日本が積極的に係はる事にどんな利點があると云ふのか。これも國民新聞からの引用だが、米國際政治學者のフランシス・フクヤマは「中國は東アジア共同體構想の經濟面を強調するが、中國は擴張主義の刃を隱してゐる」と明言してゐると云ふ。

 中川八洋は戰前日本の「アジア主義」についてかう述べてゐる。「日米對立がいよいよ本格化するのは第一次世界大戰後であつたが、それは日本における『アジア主義』といふ“迷信”が蔓延したことも一因であつた。[中略]この『アジア主義』は、日本の場合、一九二〇年代から三〇年代にかけて、ロシアの共産革命後にたうたうと流入するマルクス主義と化合してしまつた。ここに『アジア主義』が反自由主義のイデオロギーであるマルクス主義と混淆する以上、それは『反英米』と同義語となつていかざるをえない。[中略]かくして年を經るごとに『アジア主義』は『アジアからの英米追放』の運動となつた。朝日新聞が煽動する『鬼畜英米』のキャンペーンもこれであつて、日本は冷徹な外交のために不可缺な合理的思考がいつしか痲痺して、最終的には、一九三七年の近衞内閣の成立と指導のもとで日本の外交路線として決定されていくのである。」(『近衞文麿とルーズヴェルト』)

 嘗て「鬼畜英米」を呼號し大東亞共榮圈を後押しした朝日が、今又元旦の社説でアメリカ拔きの東アジア共同體を持ち上げる。桑原桑原。

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