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2004年11月 2日 (火)

憂慮すべき事

 「文語の苑」http://www008.upp.so-net.ne.jp/bungsono/index.htmlより。

 陸奧宗光著『蹇蹇録』の緒言である。 http://www008.upp.so-net.ne.jp/bungsono/Okazaki/Okazaki.html
 「である」は口語。「緒言なり」とすべきである。
 しかれどその裏にて眞の戰意欠くれば、ただのこけ威しと墮する。 http://www008.upp.so-net.ne.jp/bungsono/Okazaki/Okazaki3.html
 「堕する」は文語では連體形。「堕す」と終止形にすべきである。
 「この囘答は外形において毫も圭角(けいかく)を露(あらは)さざれども、畢竟外交的筆法を以つて婉曲に露國の勸告を拒絶したるものなれば、露國がこれに滿足すべきや否や更に待つべき所」であつたが、ロシアは取り敢へずこの囘答を受諾し、即時反論の機を逸せり。 http://www008.upp.so-net.ne.jp/bungsono/Okazaki/Okazaki9.html
 「であつたが」は「なりしも」とすべきである。

 私に文語を書く能力は無いが、その私でも指摘できるやうな初歩的な誤りである。トップページで「先人の磨き上げし文語の消え行くは、見るに忍びざるものあり」と嘆いてみせる「文語の苑」で公表する以上、せめて文法的に正しい文章を書くべきではないか。よしんば筆者が氣づかなかつたとしても、「文語の苑」には發起人が六十一人もゐるではないか。筆者と同じ幹事もゐるではないか。「文語の苑」參加者は、世間から文語が消え行く事よりも、自らの主張を裏切るやうな誤りを放置してゐる失態をまづ憂慮すべきである。

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