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2004年10月14日 (木)

政治と二元論

 けふの一言。

 政治の中には複雜で背反する人間の性情が含まれてゐる。政治が、パスカルのいふ「天使でもなく野獸でもない」人間の現象であり、ゲーテのいふやうに、「天よりは最も美しい星を求め、地よりは最も大なる快樂を求める」ところの人間性の反映である以上、それは當然のことである。ただ欲望と本能だけで行動する人間も少ないであらうが、ただ理性と良心のみで行動する人間もないであらう。從つてこのやうな人間の多數が集つて營んでゐる政治が、一つや二つの純粹理念で成立するといふことはあり得ず、政治はむしろ理想と現實、進歩と保守、連帶と鬪爭、個人性と社會性、遠心力と求心力、パトスとロゴスといふやうな、あらゆる二元的な要素の結合にほかならない。この故に政治の「理」は、一つや二つの純粹理念で、形式論理的に筋が通つてゐるといふことにあるのではなく、相反する人間の性情を調和させ、人間の感情も、本能も、弱さも、不完全さも含めた上での「道理」でなければならないのである。(矢部貞治「政治學入門」、講談社學術文庫)

 矢部貞治は二元論の重要性を知つてゐた。

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