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2004年6月 9日 (水)

馴れ合ひジャーナリズム

週間文春の坪内祐三のコラム「文庫本を狙へ!」の5月27日號掲載分は非道かつた。「噂の眞相」元編輯長岡留安則が書いた『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)を取り上げたもので、この本論にも云ひたいことはあるが、ここでは省く。非道いと云ふのは、「おまけとして最近の『一行ゴシップ』を一つ紹介する」とわざわざ前置きして書いた次の件りである。

数日前ある出版パーティーに出席し、新潮社のイシイ・『バカの壁』の仕掛け人・スバルさんと立ち話をしていたら、某大物編集者(『編集会議』のハナダさんもいたけどハナダさんじゃないよ)が近づいてきて、スバルさんが『旅』に続いて『噂の真相』の権利を新潮社で買い取ってツボウチさんを編集長に迎えるという噂があるけど本当ですか? と話しかけてきた。/ええそうなんですよ、で『考える人』のK青年と『小説新潮』のF嬢をスタッフにくれってスバルさんと交渉中なんですよ、と答えれば面白かったのだが。

「面白かったのだが」と坪内氏は面白がつてゐるが、こんな内輪話を讀まされて面白がるのは坪内氏自身と、匿名・半匿名で登場して坪内氏から胡麻を摺られた「某大物編集者」やら「仕掛け人」やらの出版關係者と、その知り合ひだけであらう。自分に有名雜誌の後継編輯長の誘ひが来たと云ふ「噂」をそのまま書く事は、自らの「大物」ぶりを暗にひけらかさうとするのと同じで、はしたない行爲である。坪内氏は雜誌ジャーナリズムの停滞を嘆いてみせるが、誌面で自慢話と身内の馴れ合ひを得々と「紹介」して恥ぢない物書きや編輯者の弛緩しきつた態度こそが、雜誌ジャーナリズムを詰まらなくしてゐるのである。

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