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2004年4月27日 (火)

松原正名言集 この國は狂つてゐる

 この飛び切り愚劣な文章のあら搜しをやる積りはない。やる必要が無い。自國の領土を侵略してゐる外國に一兆圓相當の牛肉を何のために送るのかなどと、そんな中學生にも思ひ附くやうな反論をする必要は無い。問題はかういふ夜郎自大の、金錢萬能の、不潔極まる提案に、 『ヴォイス』の編輯者も讀者も唖然慄然する事が無い、その恐るべき不感症である。この國は 狂つてゐる。この國は狂つてゐると、「同人雜誌」なんぞに書いたところでどう仕樣も無い。どう仕樣も無いほどこの國は狂つてゐる。そしてこれほど狂つてゐる國は、いづれ狂ひ死するであらう。(『天皇を戴く商人國家』 地球社 98頁)

 松原氏が激怒する「飛び切り愚劣な文章」とは、日下公人氏が雜誌「ヴォイス」昭和六十二年十月號に發表した「米ソの融和と日本の幸福」なる論文である。アメリカが日本に對し、「世界の平 和と繁榮のため何かをしろ」と言つて來た場合、アメリカから牛肉を買つて、ソ聯に送れば「アメリカの農民は喜ぶし、ソ聯の國民も喜ぶ」といふのである。

 札束で横面を引つぱたくとは、かういふ傲慢な考へを指すのであらう。「單なる防衞費の増額でFSXを開發したり、エイジス艦を購入したりするよりよいのではないか」と日下氏は己が思ひ付きを自畫自贊してゐる。成る程、軍事だけで國は守れぬ。しかし少なくも、「自國の領土を侵略してゐる外國」に一兆圓もの經濟支援をするなどと能天氣な事を口走る知識人が、國を守る妨げになることだけは確實である。

 日下氏も最近は「畸人」の小室直樹氏と組んで東京裁判批判の本など出版し、專門の經濟以外の分野でも保守派論客として賣出し中のやうである。私は日下氏のその本を讀んだ事は無い。「夜郎自大の、金錢萬能の、不潔極まる提案」をやつてのける人物が、戰爭や歴史について眞摯な考察が出來るとは到底思へない。だから讀まずにゐる。

 日下氏が「ヴォイス」に不潔なる提案を寄稿してから十三年、今や我國は、一知識人どころか、政府自らが、自國の國民を拉致してゐる疑ひが極めて濃い外國に對し、米の支援を するといふ。その案に對し、國民の「不感症」も十三年前と大して變はらぬ。松原氏が斷言したやうに、「この國は狂つてゐる」。そして「これほど狂つてゐる國」は、やはり「狂ひ死」するしか無いのかも知れぬ。 (平成12年3月5日)

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